すでに人を殺した東電とこれから人を殺す農林水産省

 これによって日本中の人が大きく被曝(内部被曝)することになるはずなのに、なぜかほとんど報道されていない。農林水産省は、日本中の人に平等に内部被曝をさせ、子どもを中心に多くの人々を癌で殺そうとしているとしか思えない


東日本大震災:膨大な汚泥肥料、使用基準を公表−−農水省

 農林水産省は24日、放射性物質を含む汚泥を原料とする汚泥肥料の取り扱い基準を発表した。公共下水道の汚泥の肥料は、汚泥の放射性セシウム濃度が1キロ当たり200ベクレル以下であれば使用を認めるとした。地域内だけに流通する、集落排水からの汚泥肥料については▽使用する農地の土壌より汚泥のセシウムの濃度が低い▽濃度が1キロ当たり1000ベクレル以下−−の2条件を満たせば、特例措置として13年3月まで認める。【佐藤浩

毎日新聞 2011年6月25日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110625ddm012040140000c.html

 セシウムは汚泥肥料から野菜に移行して人の口から体内に入る。汚泥をいいかげんに処理するしかたはいろいろあるにせよ、人間の「体の中に処理する」というのは最悪のやりかただ。
多くの人が見逃してしまっている隙をついてやられてしまったらたいへんなことになる。いろいろ許せないことが起きているが、これは緊急に阻止しなければたいへんなことになる最重要課題だと思う。

実際に農林水産省のHPを見てみよう。

http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/caesium/index.html

消費・安全局長の通知

http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/caesium/pdf/20110624_23shouan_1893.pdf

(この消費・安全局長は実名で、ひとびとの将来の死に対して、責任をとらなければならない。この意志決定に関与した者たちは、5年後、10年後に大量の癌死が生じた場合、個人の名前で被告席に立たせなければならない)

 原発事故の被曝は、初期の短期的な外部被曝から、水や食物を介した内部被曝がメインに変わる。ある意味で、東電はもう人を被曝させて5年後10年後に大量の人々を確率的に殺してしまったが、これから被曝で人々を殺す主役は農林水産省になる。これから人の命を救うためには、農林水産省を監視のメインターゲットにする必要がある。農林水産省を監視し、告発し、人命を軽視する政策を阻止することによって、多くの命を救うことができるのは希望である。

 今まで原発に関しては私などが口を挟む余地がないほど、いろいろな人々が声を上げてきた。
 大部分の論点については、私が発言するよりも、例えばこの人たちの声を参考にしていただきたい。

小出裕章さん
http://hiroakikoide.wordpress.com/
武田邦彦さん
http://takedanet.com/
save the child
http://savechild.net/

 わたしが付け加えなければならないと思っていて、今までの発言に欠けている論点がある。このポイントを世に広めなければと思う。

 事故直後から、放射性物質の飛散予測システムがあり、それにより大量の人が被曝し多くの人が確率的に死ぬことがわかっていたにもかかわらず、役人たちはその被曝予想地域の人々に何も知らせなかった。そのことによって、これから数年から十数年の間に、確率的に癌にならずにすんだはずの多くの人々が癌になり、寿命を短縮せずにすんだ多くの人々の寿命が短縮した。日頃から持ちつ持たれつで生きて来た仲間うちの論理が、人の命よりも優先された。
 それは私が研究してきたいじめ自殺に対する学校関係者たちの振る舞いと、同じである。いつも繰り返されるのは、人の命が失われたことに対して、マスメディアが大々的に報道し、広い社会がゆゆしき問題としているのにもかかわらず、学校関係者たちは、それを驚くべき露骨なしかたで軽視し、隠蔽しようとする。外の社会がなんといおうと、学校関係者の日頃の仲間うちの世界に自分が埋め込まれ守られている、という強烈な感覚である(拙著『いじめの講造:なぜ人が怪物になるのか』講談社現代新書p.19-25)。またそれは、薬害エイズのときに、患者がバタバタ死んでいくにもかかわらず、仲間うちの論理で、非加熱製剤を投与し続けた医者たちの場合と同じである。安全な加熱製剤クリオを使うことを示唆した助教授に対して、教授は「クリオを推すと君の将来はないよ」と言ったと報じられた。
 今回の原発事故で多くの人々は、こういう「仲間たち」のおかげで、被曝して癌になったり死んだりしなければならない。「原子力村」とは、こういう仲間たちの代名詞である。それは、直接東京電力の「原子力村」の中枢にかかわっていなくても、農林水産省の流通・消費・安全担当や、文部科学省の小中学校担当ようなところにも、広がっている。どこを切っても同じ顔があらわれる金太郎飴の絵柄のように、「村」があらわれ、人の命よりも仲間うちの都合が優先される。
 こういう人たちは「組織の陰に隠れていれば何をやっても許される」という安心感があるかぎり、自分たちがやっていることが大きな社会問題になってもまったく動じることなく仲間うちの論理で動き続ける。彼らから隠れ場所をうばうことが重要だ。そうでなければ、いくら社会問題にして批判しても、彼らは同じ事を続ける。彼ら「村人」たちから「隠れ場所をうばう」ことで、国民を被曝による病や死から救うことができる。

 わたしは次のことを提案したい。

 意志決定に関与したり、「課長」などの名前で文書を発行した役人の実名を使うこと。そして、その実名の人物が、その意志決定によって将来多くの人々が死んだ場合、遺族が押しかけ死んだ人々の無念に直面させられ、裁判所の被告席につかされる可能性があることを、その人物に直接面と向かって指し示す。いじめに対しては「学校のなかにいれば何をしてもゆるされるのではない。社会があなたのしたことに責任をとらせる」ということを突きつけるのが絶大な効果をおよぼす。それと同様、人の命を軽視する役人(や企業幹部や御用学者)にも、「組織の陰にかくれていれば、仲間うちの都合で何をしてもゆるされるということはない。組織の仲間うちを越えた社会があなたに責任をとらせることになる」ということを実感させる必要がある。原発事故による被曝から人の命を救うためには、この重要ポイントを忘れてはならない。こうすればこんなひどいい結果になると訴えることに加えて、個人の責任の所在を明らかにすることが重要だ。




確率的な殺害

これをすると、たとえば1万人のうち1人死ぬところが、1万人のうち100人死ぬことになるとわかっていて、あるいは利害関係のない第三者の専門家であれば納得のいく論理によってそれを指摘されながら、生命を守るため以外の理由でその行為を行い、この意志決定を行った者、意志決定に関与した者は、確率的な殺害を行ったといえる。実際にそのような大量死の結果にいたった場合、彼らは重い刑事罰を受けねばならない。東電と役人と御用学者の「原子力村」は確率的殺害をすでに行ってしまっており、農林水産省の役人たちはこれから確率的殺害を行おうとしている者たちである。


 農林水産省の役人が、確率的殺害をしないように努力している卸売市場の良心的な責任者に、自分とともに確率的な殺害をするように圧力をかけている例を見て頂きたい。政府がでたらめな基準*1をつくり、それを盾に、農林水産省の役人が、良心的に受け入れを拒否した卸売り市場に脅しをかけている。
http://www.maff.go.jp/j/press/soushoku/sijyo/pdf/110406-01.pdf

また、わざわざ不自然に曖昧化した文章にアンダーラインを引いて、立場の強い親分が子分に向かって「おれの気持ちはわかっているだろうな」とやるようなニュアンスをにじみ出させた文章
http://www.maff.go.jp/j/press/soushoku/ryutu/pdf/110406-01.pdf

これから多くの人たちが内部被曝によって死んだ場合、裁かれるのはこういう役人たちだ。

繰り返す。
東電はすでに人を殺した。農林水産省はこれから人を殺そうとしている。前半は絶望であるが、後半には希望がある。まだ殺害は行われていないからである。



放射性物質で汚染されて処理に困った汚泥を肥料にするという決定は、誰でも聞いたら驚くニュースの種になるはずだ。それがマス・メディアでほとんど報道されないのは不自然だ。わたしは上層部が止めている可能性を疑う。
もし大手新聞社やテレビ局の上層部が報道を止めているとすれば、彼らも確率的殺害に関与している。良心的なジャーナリストは、誰がどういうつながりで報道を止めたかを記録し個人名を出して告発するべきだ。人々が無知な状態でいるようにと報道を止めてきたマス・メディア上層部には社会をあげて抗議をし、企業の社会的責任として処分を迫る必要がある。
今までくやしい思いをしてきた良心的ジャーナリストたちにとって、今まで、誰がどういうつながりで原発報道を止めてきたかをぶちまける時がきた。原発報道を止めてきたマス・メディア幹部たちに退職を迫る世を挙げての運動を起こす必要がある。これから、日本住民の被害者だけでなく、ハワイや西海岸で被害を被るアメリカ住民や、中国沿岸住民、朝鮮半島住民や、極東ロシア住民も参加する、世界的な動きが起こるだろう。少なくとも海は世界規模で汚され、広範な海域の魚を食べることができなくなる。原子力村はこれから世界を敵にまわすことになる。原子力村と癒着し、原子力村をかばえばかばうほど、日本は世界で孤立する。あいもかわらずだらだらと原子力村と癒着していると、被害を受けた国々から莫大な損害賠償金を請求されるだろう。将来の莫大な損害賠償をうまくかわして生き延びるためにも、原発事故後の対処が清廉潔白でなければならない。政府はそのことがわかっているのか。東電に免責などをしたら、日本は世界を敵に回すことになることがわかっているのか。東電を免責し、東電を存続させる金があるなら、その分の金は優先的にわれわれの損害賠償金に当てろ、と被害にあった国々は要求するだろう。これは世界の正論である。場合によっては中国が、損害賠償金を払えないなら損害賠償金のかわりに海底資源に満ちた「中国固有の領土と海域」を取り返す、と軍隊を差し向けて脅してくるかもしれない。そのタイミングで、ハワイの観光業と一部太平洋漁業がフクシマからの放射性物質で壊滅的な被害を受けていて、日本政府がそれでも東電をかばってアメリカ世論が激怒で渦巻いていたとしたら、日本を守ってくれるはずのアメリカが守ってくれないかもしれない。政府はこういう最悪のシナリオを考える能力もないのか。原子力村をきちんと切り捨てる以外に、日本が生き延びる道はない。ワレワレにとって加害者である原子力村と癒着しているニホンは、もう「トモダチ」ではない。原子力村はニュルンベルク裁判のように、世界に裁かれることになる。それほど原発事故による汚染はひどいのである。いくら日本国内で力が強くても、世界を敵に回した者は滅びる。政界財界官界マス・メディア界の上層部の者たちよ。沈みかけた大船から逃げるネズミのように、原子力村をみかぎるのが利口であると知れ。





環境運動家だった菅首相は、放射性物質で汚染された汚泥を肥料にするのを許可するという農林水産省の決定を、そもそも知っているのだろうか。ひょっとして、周囲から無視されて、耳に入れてもらえなかったのではないだろうか。そうだとしたら、ほとんど、小学生のイジメである。このブログを読んだ、菅首相か奥さんか息子さんと話をできる立場の人は、汚泥を肥料にする計画を菅首相に知らせてほしい。なんとなくの直感だが、彼はシカトされて知らされていないのではないかという気がする。


★緊急に協力をお願いします。

急遽、世界に発信しなければなりません。英語に翻訳してくれれば検討するというところもありました。英語に堪能な方、ネイティヴの方、バイリンガルの方、どうかご協力お願いします。パーフェクトでなくてもかまいません。協力してもよいという方は、naito[ここに@マークを入れてください]kisc.meiji.ac.jpにご連絡ください。急いでいます。よろしくお願いします。



★もちろんのこと農林水産省は、ただ今回の許可を撤回するだけでなく、放射性物質に汚染された汚泥を原料にして肥料をつくって流通させることを、毒物混入を罰するのと同等の厳罰をもって禁止しなければならない。それが農林水産省の義務であり、義務を果たさないで業者を放置し、人々を内部被曝の危険にさらす役人は処罰さらなければならない。ただ今回の許可を撤回するだけなら、汚泥を肥料にする業者がやりたい放題をして、多くの人々を殺すかもしれない。いつの世も、良心的な業者と良心的でない業者が混在している。そして公的に禁止をしなければ、良心的でない業者の方が利益を得る。国民の生命健康を守るために業者を厳しく取りしまるのが、農林水産省の役目だ。


★日が経てば立つほど状況は不利になる。放射能肥料がまきちらされると、それは元に戻らない。

社会科学者のはしくれとして、政治力学を冷静に見れば、このままでは力関係上、まちがいなく子どもの命を守ろうとする側は負け、子どもを殺す者たちが勝つ。国民はテレビしか見ない多数の層と、ネットでマスコミの嘘を見抜く少数の層に分断されている。この分断が維持されているかぎり、原子力村も農林水産省も勝つ。マス・メディアが報道しなければ、この分断は維持され続ける。
 わたしは運動会でいっしょうけんめいがんばったから悔いはない、といった精神論ではなく、ほんとうに子どもたちの命を守りきらなければならないと思う。
 これから勝てるかもしれない可能性は、世界からの援軍が加わることだ。日本国内の力学だけからみれば100%負けるたたかいでも、世界が入ってくれば逆転する可能性がいくらでもある。もちろん世界からの援軍だけでは勝てない。これまでの少数派のたたかいを維持しつつ、それにプラスして世界からの援軍が加わることが大切である。デモやさまざまな抗議活動は必要不可欠だ。これを続けなければならない。それにくわえて、世界からの援軍が加われば、子どもたちの命を守ることができる。
 
日本は立場が弱くなっているから有力な諸外国に強くしかられれば、子どもたちを殺して平気な強いものたちが、手のひらを返したように卑屈な悔い改めのポーズをとりはじめる。いじめっ子が強い先生や警察官に強くしかられれば手のひらをかえすようなものだ。
 世界の主要メディアで報道されれば、風向きを敏感に感じる保身の徒たちの振る舞いが変わります。世界中の主要メディアが報道をすれば、朝日も読売もNHKも報道するようになる。朝日も読売もNHKも基本原則は保身である。

 だからこそ、英文に翻訳し、諸外国のメディアに発信することを迅速に行わなければ。
 日本では隠蔽されて無視されているが、放射性物質に汚染された汚泥を肥料にするといったことは、世界じゅうの人々の耳に入れば、まちがいなく、それは異常だと評価される。すると、被曝させようとする者たちの立場が悪くなる。
 人を殺して平気な者たちとたたかうときには、彼らにとって何が痛いのかを考えて、彼らが痛いと感じること重点的にやることが大切だ。

 諸外国の主要メディアが報道することはかなり痛いことだ。

 このポイントを次から次へと撃ちまくることが大切だ。

 プロの翻訳家の方々の協力が必要だ。
(7月7日)





★ こういった悪事も日本の主要マス・メディアは報道しない

事故直後は、北海道産の牛乳は北海道産でしたが、今では、福島、茨城、千葉の牛乳は大量に西日本に送り、そこで、「汚染された牛乳」と「綺麗な牛乳」をまぜて、ベクレルを規制値以内に納めていることも分かってきました。
 つまり、政府が「規制値を下回ったものを拒否するのは風評」と言い、それにのって業者が「混ぜてベクレルを下げる」ということをしているのです。
 もちろん、政府も業者も「罪の意識」がありますから、発表しませんし、マスコミの調査も隠されているようです。悪いことをしているという気持ちはあるのです。

武田邦彦HPより



★ 子どもたちの命を守るために、今、最も必要なのは、日本の主要マスメディアが報道しようとしない、業界と役人(と御用学者と報道を止めるマスメディア幹部)がやっている確率的殺害を迅速に海外主要マス・メディアに情報提供し続ける、強力な団体だ。急いでこの団体をつくらなければならない。または、地球規模で実績と発進力のある人権・環境系国際NGO組織に急遽、この部局をつくっていただきたい。

★日本の主要メディアがダンマリをきめこむなか、唯一東京新聞が社会問題として報じた。
東京新聞の記事(7月9日)

東京新聞を購読する人が増えればいいと思う。



★お母さんたちのサイトでおもしろい言葉がのっていた。

 戦争中は 「ほしがりません、勝つまでは」

 現在は  「こわがりません、死ぬまでは」



(2011年7月11日追加)


★「汚泥」で検索すると、汚泥肥料を使っている業者が出てくる(これですべてとはかぎらないが、かなり出る)。
http://www.famic.go.jp/ffis/fert/sub6_data/meigarakensaku.html


★署名お願いします【農林水産省が決定した、放射性物質が検出された汚泥を全国に肥料として流通させる新基準に反対する署名】
http://www.shomei.tv/project-1785.html


★署名お願いします【福島の子どもたちを守る緊急署名】http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/3/blog/35356


長崎大学の山下俊一教授が福島県立医科大学の副学長に就任予定

http://savechild.net/archives/4718.html

これを許せば、【安全です】を流すほど利益になる、自分は組織に守られているという絶大なる自信を、政界、財界、官界、学界、メディア界の、原子力放射能有力者たちに与えてしまうことにならないか。彼の発言記録、彼の講演を聴いた福島の人たちの証言と共に、この人事を日本中、世界中の問題にする必要がある。なぜならば広い意味での「The Genshiryoku MURA」の生命を維持する根本栄養素は、人事だからだ。

http://savechild.net/archives/1364.html
http://savechild.net/archives/2799.html


フランスの教授は起訴されたそうだ

チェルノブイリ事故後の野菜・果物への放射能汚染を過少評価した仏政府責任者、起訴」フィガロ紙(4月1日)




チェルノブイリ原発事故が起きた1986年4月26日当時、フランス放射線防護中央局(SCPRI)局長をつとめていたピエール・ペルラン教授(88歳)は、チェルノブイリ事故が起きた直後の4月30日から5月5日にかけ、「フランス国内では『死の灰』(放射性物質)による汚染は無く、健康への影響は無い」と発言、「深刻な嘘をつき」国民の健康を害したかどで、2002年より起訴されている。ぺルラン教授の件は3月31日にパリ法廷で協議され、9月7日に最終決定がなされる予定。

3月31日、傍聴席に座った「フランス甲状腺がん患者協会」のシャンタル・ガルニエール代表は次のように述べた。

「私たちは怒り心頭だ。政府の嘘はもう終わりにしてほしい。今日フクシマで何が起きているか、本当に分かっているのか?」

「私たちはぺルラン教授が嘘をついたことに怒っている。チェルノブイリ惨事の後に国民が野菜や果物を食べないようにすべきだったのに。」

3700名の甲状腺がん患者が参加する同協会のガルニエール代表(61歳)は、1987年に甲状腺がんの診断を受け、今日に至る。

注:SCPRIを管轄するのはフランス保健省。

(Anne Jouan & Marie-Amélie Lombard-Latune, Le Figaro, 2011.04.01)

http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/41-cc0e.html

良心的な学者のグループ

http://dl.dropbox.com/u/23151586/fukudai_yushi_yobo.pdf


(2011年7月14日追加)


資源エネルギー庁がブログやTwitterなどの言論を監視。その監視業務を業者に入札させる。平成10年度は原子力村の天下り組織としか思えない財団法人エネルギー総合工学研究所に発注

今年の「仕様書」より

仕様書
1.件名
平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)
2.事業目的
ツイッター、ブログなどインターネット上に掲載される原子力等に関する不正確
な情報又は不適切な情報を常時モニタリングし、それに対して速やかに正確な情報
を提供し、又は正確な情報へ導くことで、原子力発電所の事故等に対する風評被害
を防止する。
3.事業内容
? ツイッター、ブログなどインターネット上の原子力や放射線等に関する情報を
常時モニタリングし、風評被害を招くおそれのある正確ではない情報又は不適切
な情報を調査・分析すること。モニタリングの対象とする情報媒体及びモニタリ
ングの方法については、具体的な提案をすること。
? 上記?のモニタリングの結果、風評被害を招くおそれのある正確ではない情報
又は不適切な情報及び当庁から指示する情報に対して、速やかに正確な情報を伝
えるためにQ&A集作成し、資源エネルギー庁ホームページやツイッター等に掲
載し、当庁に報告する。
? Q&A集の作成に際して、必要に応じて、原子力関係の専門家や技術者等の専
門的知見を有する者(有識者)からアドバイス等を受けること。また、原子力
係の専門家や有識者からアドバイス等を受ける場合には、それらの者について具
体的な提案をすること。
? 事業開始から1ヶ月程度で30問以上、事業終了時までには100問以上のQ
&A集を作成すること。
【提案事項】
? モニタリングの対象とする情報媒体(ツイッターは必須)
? モニタリングの具体的な方法と体制
? Q&A集を作成後、速やかに周知するための具体的な方法
? 想定される専門家や有識者
? これらを活用した新規提案
【留意事項】
・受託者は、不正確な情報又は不適切と思われる情報媒体や抽出するキーワードに
ついては、資源エネルギー庁担当者と十分に調整すること。
・Q&A集の作成にあたっては、十分な調査・分析を行い、その結果を反映するこ
と。また、Q&A集の最終的な問数については、実態に合わせて資源エネルギー
庁担当官と調整すること。
・原則として、正確な情報提供は即座に行うとともに、その結果については、翌営
業日以内に資源エネルギー庁担当者に報告すること。
・常時モニタリングするために十分な人員を確保すること。
4.事業期間
委託契約締結日から平成24年3月30日まで
5.納入物
・不正確な情報及び不適切と思われる情報並びにそれらに対する正確な情報等をと
りまとめた報告書の電子媒体(CD−R)一式
http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/tenddata/1106/110624b/3.pdf

平成10年度に入札した財団法人エネルギー総合工学研究所の理事長や理事の名前を見ると、原子力村の有力者たちがずらりと並んでいる。ことごとく、天下りだ。


政府が新聞やインターネットを監視し、原子力発電に関する言論を収集していたことが分かりました。経済産業省の外局である資源エネルギー庁が「不適切・不正確な情報への対応」を口実にメディアを監視していたのです。(中略)

資源エネルギー庁の担当者は「原子力は誤解されていることが多い。効果的な情報提供をするための事業だ」と述べていますが、まさに税金を使ったメディア・国民監視です。

 10年度に同事業を受注した財団法人エネルギー総合工学研究所は、理事長が東京電力元副社長の白土良一氏で、副理事長は元通商産業省環境立地局長の並木徹氏。理事には、木村滋電気事業連合会副会長(東京電力取締役)や阪口正敏中部電力副社長など電力業界幹部や、市川祐三日本鉄鋼連盟専務理事(元経済産業省大臣官房審議官)、松井英生石油連盟専務理事(元経済産業省商務流通審議官)といった名前が並びます。


2011年7月14日(木)「しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-14/2011071401_01_1.html


私は、こと原発問題に関しては、共産党の見識と調査能力に尊敬の念が高まる一方だ。これまでも、福島原発脆弱性を指摘し続けていたのは共産党だ。イデオロギーなどどうでもよい。立派な調査とオピニオンを発信しつづけた共産党には、敬意を表するべきであろう。
それに対して、原子力村の役人の動き方は、旧ソ連の官僚にそっくりだ。いったい、どちらが共産主義だか・・・

前記で紹介した農林水産省の役人の「科学的」という言葉と脅しの繋げ方をよく見てみよう
http://www.maff.go.jp/j/press/soushoku/sijyo/pdf/110406-01.pdf

 旧ソ連の官僚が、科学的社会主義の前衛党が指導する国家が決めたことだから「科学的」に正しいとして、逆らうと反革分子として処罰すると脅すみぶりは、農林水産省の役人がでたらめな国家の基準値を「科学的」と断定しながら、逆らったら法令により処罰すると脅す身振りと、驚くほど似ている。

そして、「科学的」に正しい国家の役人が、原子力発電所の危険箇所の改善を、こんなふうに妨害する。国家は「科学的」に正しいのだから、まちがっているはずはない。だから改善などありえない。「科学的」に正しい国家と違う意見は、「風評被害」をもたらす「不正確情報」であり監視しなければならない。もちろん、役人は保身のために「科学的」にまちがえないのである。

 武田邦彦氏は、九州のとある原子施設の所長だったときのことを回想する。

 非常に複雑な配管が入り交じった大きな施設に対して国の認可をいただいて研究をしていました。(中略)
 あるとき私が研究所内を見まわっているときに、ふとある配管に気がつきました。その配管は普通の研究の活動では、必要な配管でもあり、また間違ってもいないのですが、もしも事故が起こったときには、その配管を通じてウランが海に流れることに気がついたのです。
 「これはいけない」と思って研究担当の責任者にはその旨をいって注意させ、ただちに電話で当時、ウランの施設を管理していた科学技術庁(当時)の担当者を通じて連絡をしました。
 著者は「自分の設計のミスだから始末書か何かを書きますから配管を取り外したい」と申し出をしたのです。すぐに認めてもらえると思っていました。
 ところが意外なことに科学技術庁の担当官は、「配管を外してはいけない」というではないですか!そして、その理由を聞くと「研究施設はすでに国の審査と認可を受けていて、安全で正しいということになっている」というのです。
 危険なのは危険なので、国の審査もなにも関係がないのですが、これが役人の論理です。
 もし、その中に間違った部分があったとすると、それは国の審査や認可が間違っていたことになり、お役人の責任になるからです。著者は食い下がりました。
 「確かに論理的にはそうだけれども、人間には間違いがある、間違いをしたのは私だから私に何かペナルティがくるのは仕方がないが、このまま運転すると事故になったとき、その事故のペナルティは市民にかかることになる、市民はまったく責任がないのにペナルティをかぶることになるので、それはできない」
 しかし、最後まで科学技術庁の役人は認めてくれませんでした。その後で、内密に担当者と話をしてみますと、「武田さん。あれは武田さんが勝手に外せということにしたといっているんですよ」と解説をしてくれました。
 つまり、すでに国が認めた配管を変更するというのは国の間違いを認めるのだからお役人の責任になる。しかし、武田が勝手に外すのなら、もしもばれても、武田が罰せられるだけであるということなのです。
 もちろん私はその配管を外しました。(中略)
 …中央官庁の役人は国民の代わりに監督をしているという建前はありますが、著者の経験でもわかるように、現場にも研究が成功することにも興味がなく、さらには地域の安全を守るという意識もありません。
 ただ自分たちの身を守り、天下り先を探し、責任を他人になすりつけるだけです。
 しかしお役人は許認可権や審査権を持っています。自分のことだけを考えるような役人は、特に許認可権をかさに仕返しをしてきます。だからこちらが少し強いことをいったり、お役人を困ることをいったりすると、次の審査の時に痛い目に遭うことになります。

 武田邦彦『原発事故 残留汚染の危険性』朝日新聞出版)p.99〜103


★知人が汚泥肥料問題について農林水産省に電話をして、なぜ公表しないのかと聞いたところ、一般国民向けではなく、自治体・業者向けの通知だから公表する必要がないとのこと。
これまで汚染されていなかった農地が次々と放射性物質で汚染されていくのを、小さな子どもがいる親だけでなく、まじめな農家も知らされない。
農林水産省の役人は、国民を虫けら扱いしているとしか思えない。

                       (2011年7月15日追加)


*1:基準値づくりに関しては日本政府は完全に信頼を失っている。信頼をとりもどすためには、基準値は原子力村や大国の核兵器戦略の影響力が及びにくい欧州放射線リスク委員会がつくり、それを日本政府が無条件に受け入れるというかたちにするべきだ